
はじめに
「ノイエ・クラッセ」(英語ではNew Class)と呼ばれた1500/2000系の後継ミドルクラスセダンとして1972年に初代BMW5シリーズが誕生しました。登場から40年以上の歴史を持ち、3シリーズと7シリーズの間に位置する歴代モデルは高い走行性能とラグジュアリーさを両立し人気を獲得、2008年までに累計生産台数が500万台を達成しています。2003年に導入された5代目5シリーズ(E60/E61)は4ドアセダンとステーションワゴンのツーリングの2タイプが用意されていましたが、2010年に導入された6代目となる5シリーズ(F07/F10/F11)では5ドアハッチバックのグランツーリスモが追加され、3タイプのボディラインナップとなりました。今回は、5シリーズのセダンで5代目と6代目の新旧比較を行っていきましょう。
BMW5シリーズの歴史
長年、BMWのミドルクラスを担ってきた主力車種
初代BMW 5シリーズ(E12)は、1961年にデビューしたBMW1500(のちにBMW2000に発展)の後継モデルとして1972年に登場しました。5シリーズは、メルセデス・ベンツEクラスやアウディA6などと同じEセグメントやアッパーミドルクラスと呼ばれるカテゴリーに属します。2003年から国内導入を開始した5代目5シリーズ(E60/E61)は、軽量化を目的にボディ前部(Aピラーより前)をアルミニウム構造としたことが大きな特徴です。また、走行状態に応じてステアリングのギア比及びパワーアシスト量を自動調整で調整するアクティブ・ステアリングを装着することで、ドライバーに安定した走行をサポートする機構を装着したことで話題となりました。デビュー時のエンジンライナップは、最高出力141kw(192ps)を発揮する2.5Lと170kw(231ps)を発揮する3Lの直列6気筒DOHCと、450kw(333ps)を発揮する4.4L V型8気筒DOHCの3タイプ。その後、2005年に行われた一部改良で3Lと2.5Lエンジンがパワーアップされ、同年11月には4.4Lエンジンが新開発の4Lそして4.8L V型8気筒DOHCに変更されています。さらに2007年に行われたマイナーチェンジでフロントのデザインが変更され、内装もパネルなどの素材などが見直され、さらに装備が充実しました。
走りの良さはそのままに、最新の安全装備を搭載
5代目5シリーズ(E60/E61)が販売中だった2009年11月、6代目5シリーズの幕開けを告げる、グランツーリスモ(F07)が国内で販売されました。グランツーリスモは7シリーズ(F01)と共通のシャシーを使用し、これまでの5シリーズ以上の広い室内空間が魅力です。グランツーリスモの発売から約半後の2010年3月に4ドアセダン、9月にステーションワゴンのツーリングがフルモデルチェンジされ6代目5シリーズ(F10/F11)の国内導入が開始されました。エクステリアデザインはBMWの伝統となるロング・ホイールベース&ショート・オーバーハング(前後のタイヤからボディの先端、後端までが短いこと)を受け継いでいますが、5代目5シリーズ(E60/E61)と比べボディは拡大しています。搭載されるエンジンは、最高出力150kw(204ps)を発生する2.5L直列6気筒DOHC、最高出力190kw(258ps)を発生する3L直列6気筒DOHCターボ、最高出力300kw(407ps)を発生する4.4L V型8気筒がラインアップし、高い環境性能によって一部グレード(528i)がBMWとしては初となるエコカー減税対象車となりました。また、2011年に2.5L直列6気筒DOHCエンジンがツインスクロールターボ付き2L直列4気筒に変更。そして2012年には2L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンが追加されました。2013年に行われたマイナーチェンジで内外装のデザインが変更されるとともに衝突回避・被害軽減ブレーキなどが搭載されたドライバー支援システム、ドライビング・アシスト・プラスが全車に標準装備され、安全性能が向上しています。
BMW5シリーズ ボディの違い
6代目でボディサイズは拡大されたが、最小回転半径は小さくなった
BMW5シリーズの新旧比較ですが、まずはボディサイズを見ていきましょう。5代目5シリーズセダン(E60)のボディサイズは全長4885mm×全幅1845mm×全高1470mm。ホイールベースは2890mm、トレッドはフロントが1560mm、リアが1580mmとなります。一方、6代目5シリーズセダン(F10)は全長4915mm×全幅1860mm×1475mm、ホイールベース2970mm。トレッドはフロントが1600mm、リアが1625mmです。5代目と比べて全長が55mm、全幅は15mmボディが拡大され、ホイールベースは80mm延長されました。全体的にひとまわりボディが大きくなったのですが、注目したいのは取り回しのしやすさの目安となる最小回転半径です。5代目5シリーズ(E60)が5.7mだったのに比べ、6代目5シリーズ(F10)は5.5mと小さくなっているのです。これは進化したアクティブ・ステアリングの効果が大きく、街中での取り回しを考えたときにこの改良は大きなメリットといえるでしょう。一方80mm延長されたホイールベースが、先代よりも居住性の向上に貢献しているのは言うまでもありません。
先代型523d(F10) | 先代型535i(F10) | 先々代525i(E60) | 先々代540i(E60) | |
---|---|---|---|---|
全長 | 4,915mm | 4,915mm | 4,855mm | 4,855mm |
全幅 | 1,860mm | 1,860mm | 1,845mm | 1,845mm |
全高 | 1,475mm | 1,475mm | 1,470mm | 1,470mm |
ホイールベース | 2,970mm | 2,970mm | 2,890mm | 2,890mm |
車両重量 | 1,760kg | 1,820kg | 1,620kg | 1,800kg |
トランク容量 | 520L | 520L | 520L | 520L |
BMW5シリーズ エクステリアの違い
アグレッシブより、シャープさと美しさを重視
続いて、エクステリアデザインの比較です。5代目5シリーズセダン(E60)と大きく変わったのはヘッドライトまわりのデザインでしょう。6代目5シリーズセダン(F10)はステアリング・ホイールの切れ角に合わせて路面を照らすバリアブル・ライト・コントロール機能を備えるアダプティブLEDヘッドライトを採用しています。ただ、一見すると、5代目5シリーズ(E60)よりコンサバティブなデザインだと感じてしまいますが、BMW伝統のキドニーグリルを含めたフロントマスクはシャープさが引き立ち、スポーティな印象を見る人に与えます。と同時に、5代目5シリーズ(E60)よりもラグジュアリー感が増したと思わせるデザインとなりました。また、ボディ全体の造型もアグレッシブさを強調していた5代目5シリーズ(E60)より、6代目5シリーズ(F10)のエッジが立ったキャラクターラインや躍動感溢れるボディは美しさが強調されました。
BMW5シリーズ インテリアの違い
操作性向上のため、スイッチ類を追加装備
では、インテリアはどう違うのでしょうか。基本デザインはBMWの伝統を受け継ぐ、水平基調でドライバー中心のレイアウトを6代目5シリーズ(F10)も採用しています。ただし、5代目5シリーズ(E60)より、シルバーの装飾がいたるところに施され、特にラグジュアリーな雰囲気が増したことが大きな違いといえるでしょう。また、ホイールベースの拡大により、後席のスペースが広くなりました。とくに足元スペースがホイールベース延長の大きな恩恵を受けています。また、iDriveでナビや空調などの操作を行っていた5代目5シリーズ(E60)と違い、操作の多用化を狙いスイッチ類を増やしていることも6代目5シリーズ(F10)の特徴です。また、ナビのルートをフロントウインドウに表示するHUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)も新たに設定されています。
BMW5シリーズのエンジンの違い
すべてのグレードでパワーと燃費性能を両立
それではBMW5シリーズのエンジン比較に移りましょう。5代目5シリーズ(E60)のエントリーモデルである525iには2.5L直列6気筒DOHCエンジンが搭載されていましたが、6代目5シリーズ(F10)のエントリーモデルである523iには2011年10月から2L直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載されています。アイドリングストップ機構などを採用したことで11.4km/Lだった2.5L直列6気筒エンジンの10・15モード燃費が、2L直列4気筒DOHCターボエンジンではJC08モード燃費で14.4km/Lまで向上しました。燃費向上はこのエンジンだけでなく、5代目5シリーズ(E60)にも搭載されていた4L V型8気筒DOHCエンジンの10・15モード燃費が7.6km/Lだったことに比べ、6代目5シリーズ(F10)の4.4L V型8気筒DOHCターボは9.2km/L(JC08モード)、3L直列6気筒DOHCエンジンが9.4km/Lだったことに対し6代目5シリーズ(F10)の3L直列6気筒DOHCターボエンジンは13.0km/Lといずれも向上しています。また最高出力も、3L直列6気筒エンジンが200kw(272ps)から225kw(306ps)、5代目5シリーズ(E60)の525iに搭載されていた2.5L直列6気筒エンジンが160kw(218ps)だったことに対して、現行型の523iに搭載される2L直列4気筒ターボエンジンは135kw(184ps)と最高出力は劣るものの、最大トルクは先代の250N・m(25.5kg・m)に対し270Nm(27.5kg・m)と上回っていることは注目です。搭載されている全てのエンジンで5代目と比較して6代目5シリーズ(F10)は燃費が向上したにもかかわらず、エンジンのポテンシャルはアップしているのです。これこそ、エンジン屋と称されるBMWの技術力がよくわかるポイントと言えるでしょう。
先代型523d(F10) | 先代型535i(F10) | 先々代525i(E60) | 先々代540i(E60) | |
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エンジン | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ | 直列6気筒DOHCターボ | 直列6気筒DOHC | V型8気筒DOHC |
総排気量 | 1,995cc | 2,979cc | 2,496cc | 3,999cc |
最高出力 | 135kw(184ps) | 225kw(306ps) | 160kw(218ps) | 225kw(306ps) |
最大トルク | 380N・m (38.7kg-m) | 400N・m (40.8kg-m) | 250N・m (25.5kg-m) | 390N・m (39.8kg-m) |
タンク容量 | 70L | 70L | 70L | 70L |
JC08モード燃費 | 16.6km/L | 13.0km/L | 8.8km/L(10・15モード) | 7.6km/L(10・15モード) |
BMW5シリーズのグレードの違い
大きな差が出たのは安全装備
グレードは5代目5シリーズ(E60)がスタンダードを始め、専用のサスペンションや空力特性を高めエアロパーツを装着したMスポーツパッケージ、本革シートをはじめ豪華装備が魅力なハイラインパッケージの3種類が設定されていました。価格は645万~1045万円でした一方、6代目5シリーズ(F10)は現在、ラグジュアリー、Mスポーツを523i、523d、528i、535i、550iの全グレードに設定し、価格は599万~1150万円とディーゼル車の追加によってエントリーモデルの価格は下がっています。ラグジュアリーは伝統的でエレガントなデザインを、Mスポーツはスポーティなたたずまいを強調したデザインを採用しています。先々代と比較して大きく違うのは安全装備でしょう。アクティブクルーズコントロール(ACC)や車線逸脱警告システム(レーン・ディパーチャー・ウォーニング)、衝突回避・被害軽減ブレーキなどを装備したドライビング・アシスト・プラスが全車に標準装備されるなど、安全装備の進化に注目です。
BMW5シリーズの中古車・中古車相場価格
3シリーズに次いで売れている5シリーズだけに、中古車市場には高価な輸入車でありながらも車数、車種が豊富に揃っています。
現行車F10型は2013年にマイナーチェンジを行いましたが、その後期モデルは早くも出回っています。
直列4気筒DOHC2.0Lエンジン搭載の523iならば、走行距離1万㎞未満のハイクオリティモデルが、470~500万円で購入が可能です。
5シリーズセダンで軽快な走りをするよりもクルージング走行で十分という人ならば、2.0Lエンジンでも満足できます。
ただし、やはり5シリーズの持ち味を存分に楽しみたいという人は、最低でも直列6気筒DOHC3.0Lエンジン、通称シルキー6搭載車を選びたいところです。
F10型後期モデルでは535iに搭載されていますが、まだ中古車市場では車数が少なく安定した価格ではありません。それでも走行距離1万㎞未満の状態の良い車種が550万円から見つけることができます。
F10型の前期モデルになると価格は緩やかに下がり、1世代前のE60型になると一気に下落します。
前期型のシルキー6を搭載している2011年登録モデル528iで、走行距離3万㎞未満ならば310万円から、2009年登録モデルE60型では同程度の車種を280万円から見つけることが可能です。
ちなみにF10型の最高グレードは550iで、これにはV型8気筒DOHC4.4Lターボチャージャー装着エンジンが搭載されています。
中古車市場では滅多に見る機会がありませんが、先代M5を凌ぐパワーを持っているといわれています。
まとめ
いかがでしたか?
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